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病理診断は顕微鏡を用いて細胞や組織が織りなす形態を観察することで行われており、診断が難しい症例に関しては、免疫染色(免疫組織化学、免疫細胞化学)を用いて、詳細な病理診断を行うことを目指しています。最近では、顕微鏡では判定できない分子や遺伝子レベルでの検査が病気の診断や治療に大きく関わってきています。いつくかの臓器の癌(乳癌、肺癌、胃癌など)では、抗がん剤や分子標的治療の選択において病理検体を用いた遺伝子検査がその鍵を握る場合があり、当科でもこうした遺伝子検査を院内で一部行っています。
病理診断が担う業務範囲はほぼ全科であることから、各診療科と垣根のない密接な関係作りが診断に大切であり、開催されるカンファレンスには積極的に参加し、各科と意見を交換しています。また診断が難しい症例には論文等の最新の知見を取り入れますが、それでも診断困難な場合はその道に詳しい病理医に積極的にコンサルテーションを行い、診断の精度管理に努めています。また、学会に症例や研究内容を提示することでも精度管理を行っています。
日本病理学会では病理専門医研修制度を導入しており、当科も高知大学医学部附属病院病理専門医研修プログラムの連携施設として参加しており、専門医研修として症例の提供を行っています。
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業務内容
A. 組織診
当院では組織診は年間4000件を超える件数であり、年々増加傾向にあります。質の高い診断や深い病態の理解を目指し、通常の組織標本に加えて、必要に応じて特殊染色や免疫組織化学染色(免疫染色)を躊躇なく使用しています。医療の進歩は目覚ましく、現代医療に対応するため、免疫染色のための抗体は新しいものになるべく随時更新を行っています。最終診断が困難な症例に関しては、国内外の専門家にコンサルトすることで対応しています。
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B.細胞診
当院では細胞診は年間5000件以上で推移しています。標本作製においては、Liquid-based cytology (LBC)法も導入しています。難解症例や組織診ができない症例に関しては、免疫細胞化学を駆使し、より正確な情報を提供するよう努めています。生検時に病理診断科のスタッフが病棟に出向き、迅速細胞診(Rapid On-Site cytologic Evaluation (ROSE))を行うこともあり、患者様の負担軽減に貢献しています。
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C.術中迅速診断
当院では術中迅速診断は年間100件‐160件で推移しています。保険診療上は算定されませんが、可能な限り捺印・擦過細胞診も併せて行い、診断の精度向上に利用しています。
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D.病理解剖(剖検)
病理解剖により、肉眼的な観察や顕微鏡による詳細な検討結果を元に、全例CPC (Clinico-Pathological Conference)が行われます。その場で臨床医と病理医が死因や病態等を協議し、その結果を加味し、病理医により最終病理解剖報告書が作成されます。その結果は、解剖を行った病理医から主治医へと報告され、主治医よりご遺族に説明がなされます。
病理解剖は全国的に減少の一途を辿っており、当院では年間数例から10数症例で推移しています。尚、卒後臨床研修制度においてCPCレポート提出が研修医の必修項目となっており、当院ではCPCレポートが充実したものとなるべく、実際の病理解剖に研修医が立ち合い、さらに臨床指導医の教育の元で、CPCにおける臨床歴のプレゼンテーションや質疑応答を主として研修医が対応しています。
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病理医と患者さまの関係について
近年は、病理医が患者様に直接病理診断内容を説明する、「病理外来」を立ち上げる病院・施設がみられます。実際に御自身の病気を目で見て頂くこと等で、主治医から伝えられる病気の知識をさらに深めることにつながる「病理外来」は、その意義が大きいと考えられています。しかし、「病理外来」を立ち上げている施設は全国的にみてかなり少ないのが現状です。それは病理医の数が少なく、通常業務で精一杯となり、「病理外来」まで手が回らないことが主たる理由とされています。当院では外部の病理医の力を借りておりますが、基本的に常勤病理医1名で行われており、「病理外来」を開設することができないのが現状です。ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
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業務実績等
年度別検査件数
項目 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
組織診断数 | 3617 | 3971 | 3902 | 4547 | 4305 | 4283 |
術中迅速診断数 | 155 | 142 | 131 | 181 | 176 | 175 |
細胞診断数 | 5235 | 4832 | 4581 | 4818 | 4571 | 4586 |
病理解剖数 | 12 | 11 | 4 | 8 | 8 | 9 |
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カンファレンス、勉強会一覧
・キャンサーボード(毎月第4火曜日)
・臨床病理症例検討会(CPC)(全例、不定期開催)
・放射線科(画像)カンファレンス(毎月第3木曜日)
・部内英文抄読会(毎月第4木曜日)
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スタッフ紹介
医師(病理医) 1名
臨床検査技師 5名
応援医師(高知大学医学部附属病院病理診断部) 1名
当科所有資格
日本病理学会 病理専門医・指導医 1名
日本臨床細胞学会 細胞診専門医 1名
細胞検査士 5名
国際細胞検査士 2名
認定病理検査技師 1名
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臨床実習受け入れ
高知大学医学部・他県の医学部学生の臨床実習
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医師紹介
病理診断科部長
賴田 顕辞よりた けんじ
宮崎大学 平成17年卒業