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はじめに
 病理診断科は、患者さんから採取された組織や細胞を顕微鏡などで詳しく調べ、病気の診断や治療方針の決定に必要な情報を提供する部門です。この診断を「病理診断」といい、病理診断を専門とする医師を「病理医」と呼びます。
 病理診断は、がんをはじめとするさまざまな病気の確定診断や、病気の広がり、治療効果の評価などに関わります。病理医は、患者さんを直接診察する主治医と連携し、診断結果を共有することで、患者さん一人ひとりに適した医療を支えています。
 当科では、病院の理念である「愛され、親しまれ、信頼される病院づくり」のもと、最新の医学的知見を取り入れ、丁寧で質の高い病理診断を提供できるよう努めています。

病理診断科の現状
 当科は、日本病理学会認定施設として病理診断に取り組んでいます。2026年9月現在、常勤の病理医1名と臨床検査技師4名(うち細胞検査士3名)が在籍し、高知大学医学部附属病院病理診断部からも非常勤病理医2名の支援を受けています。
 病理診断では、肉眼な観察および顕微鏡による組織・細胞の観察を基本とし、主に以下に述べる4つの業務を行っています。

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業務内容

当科では、主に次の4つの業務を行っています。

A. 組織診

 針や鉗子などで採取した小さな組織から、手術で摘出された臓器まで、さまざまな検体を顕微鏡で詳しく調べます。病変の一部を採取する検査を「生検」といいます。手術で摘出された検体では、病気の種類を診断するだけでなく、腫瘍の広がりや切除断端への病変の有無、リンパ節転移の有無などを評価します。また、治療の効果判定や、治療薬の選択に役立つ検査(乳がんのホルモン受容体検査など)も行っています。
 当院の組織診断は年間4,000件を超えています。通常の組織標本に加え、必要に応じて特殊染色や免疫組織化学染色(免疫染色)を用いて、診断に必要な情報を多角的に評価します。診断に用いる抗体などについても、医学の進歩に応じて更新に努めています。またいくつかの疾患に対しては自施設でFISH検査を施行することでより詳細な検討も行っています。診断が難しい症例では、臨床医と情報を共有して検討するとともに、国内外の専門家に相談し、より妥当性の高い診断につなげられるよう取り組んでいます

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B.細胞診

 細胞診は、尿や喀痰、体腔液(胸水・腹水など)、病変の擦過物、針で吸引した検体などから得られた細胞を顕微鏡で観察し、病変の有無や性質を調べる検査です。がん検診などのスクリーニングや、病気の推定診断に広く用いられています。組織を採取する検査に比べ、身体への負担を抑えて実施できる場合があることも特徴です。
 当院の細胞診断は年間4,200件前後です。標本作製には液状化検体細胞診(Liquid-Based Cytology:LBC)法も導入しています。症例に応じて免疫細胞化学染色などを活用し、診断に役立つ情報の提供に努めています。また、必要に応じて病棟などで迅速細胞診(Rapid On-Site Evaluation:ROSE)を行い、検体採取時の評価を通じて検査の充実と患者さんの負担軽減を支援しています。
 

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C.術中迅速診断

 術中迅速診断は、手術中に提出された組織を凍結して薄く切り、短時間で顕微鏡標本を作製して診断する検査です。腫瘍が切除断端に残っていないか、リンパ節に転移がないかなどを手術中に評価し、結果を術者に報告します。手術方針を判断するための重要な情報となります。当院では、1検体あたり平均約20分を目安に診断しています。
 当院の術中迅速診断は、年間200件弱であり、症例に応じて捺印細胞診や擦過細胞診も併用し、複数の所見を踏まえて診断の精度向上に努めています。

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D.病理解剖(剖検)

 病理解剖(剖検)は、ご遺族の承諾を得て、亡くなられた患者さんの病気の状態や死因を詳しく調べるものです。生前の診断や治療を振り返り、病態の解明や今後の医療の質の向上に役立てます。実施にあたってはご遺体の尊厳に十分配慮し、必要な範囲で検査を行います。所要時間は通常約2~3時間で、終了後はご遺体を整えてご遺族にお返しします。
 病理解剖後は、臨床情報・肉眼所見・顕微鏡所見をもとに死因等を病理医が検討し、臨床医と病理医が臨床病理検討会(CPC:Clinico-Pathological Conference)で死因や病態を検討します。当院ではCPCは死後1~2か月後に行っています。検討内容を踏まえて病理解剖報告書を作成し、主治医に報告します。その後、主治医からご遺族へ病態などについて説明が行われます。
 当院では年間の病理解剖数は10件未満です。病理解剖とCPCは、診療を振り返り、病態への理解を深めるとともに、医療者の教育にもつながる重要な機会です。研修医も指導医のもとで解剖やCPCに参加し、臨床経過の提示や質疑応答などを通じて学びを深めています。

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病理医と患者さまの関係

 病理医は、患者さんから採取された組織や細胞を調べ、その結果を主治医に報告することで診療を支えています。主治医は病理診断を画像検査や症状、その他の検査結果と合わせて総合的に判断し、患者さんに診断や治療方針を説明します。病理診断科は患者さんと直接お会いする機会が少ない部門ですが、診断を通じて日々の診療に重要な役割を果たしています。

 病理医が患者さんに病理診断の内容を直接説明する「病理外来」を設けている医療機関もあります。病理標本を実際に見ながら説明を受けることは、ご自身の病気への理解を深める一助となります。一方、病理外来の実施には、診断業務に加えて患者さんへの説明を担う人員と時間が必要です。当院では、常勤病理医1名を中心に病理診断業務を行い、大学病院からの支援も受けていますが、現時点では病理外来を開設しておりません。病理診断を通じて主治医の診療を支え、患者さんに適切な医療が提供されるよう、引き続き努めてまいります。

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業務実績

年別検査件数(2020~2025)
 項目2020年2021年2022年2023年2024年2025年
組織診断数392043474305428346054125
術中迅速診断数131181176175196157
細胞診断数458148184571458633784217
病理解剖数488967
 

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カンファレンス、勉強会一覧

・外科カンファレンス(毎週木曜日)
・キャンサーボード(毎月第4火曜日)
・臨床病理症例検討会(CPC:全例、不定期開催)
・放射線科(画像)カンファレンス(毎月第4木曜日)
・部内英文抄読会(毎月第4木曜日)

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スタッフ紹介

2026年9月現在
医師(病理医)   1名
臨床検査技師  4名
応援医師(高知大学医学部附属病院病理診断部) 2名

当科所有資格
日本病理学会 病理専門医・指導医 1名
日本臨床細胞学会 細胞診専門医    1名
細胞検査士  3名
国際細胞検査士   3名
認定病理検査技師  1名

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臨床実習受け入れ

高知大学医学部や他県の医学部からの医学生の臨床実習

高知大学医学部附属病院の病理専門医研修プログラム連携施設としての病理専門医研修
県内外の臨床検査技師養成課程を有する大学・専門学校からの学生の臨床実習

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医師紹介

病理診断科部長

賴田 顕辞よりた けんじ

宮崎大学 平成17年卒業

専門分野病理診断
指導医・専門医・認定医
日本専門医機構・日本病理学会認定病理専門医、日本病理学会認定病理専門医研修指導医、日本臨床細胞学会認定細胞診専門医、死体解剖資格

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