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がん診療連携推進病院病院のご案内

皮膚がん

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    形成外科部副部長
    柏木 圭介
  • 皮膚科部副部長
    藤岡 愛
 皮膚がんは人口10万人あたり20.0人(2019年)の罹患率ではありますが、比較的高齢者に多いので、これからの高齢化社会で発生が増加することが予想されます。内臓に発生するがんと比べると目に見える部分に発生するので早期発見が可能なことが多いですが、放置すると進行する場合もあります。皮膚がんにもさまざまな種類がありますが、代表的な皮膚がんとして以下の4種類が挙げられます。
基底細胞がん
 海外でも日本でも一番多い皮膚悪性腫瘍です。毛包由来とされ、好発部は顔面で紫外線の影響があると考えられています。いわゆるほくろに似ていますが、黒色から黒褐色の光沢をもつ色調を呈します。転移はまれですが、周囲の組織を破壊しながら進行することがあります。
有棘細胞がん
 日本においては基底細胞がんの次に多い皮膚悪性腫瘍であり、高齢化に伴い増加傾向にあります。表皮内がんである日光角化症やボーエン病から生じることもあります。約6 割が日光に当たる部位に生じることより、紫外線の関与が考えられます。紅色の腫瘤で角質増殖やびらん、潰瘍を伴うこともあります。比較的緩徐に進行しますが、リンパ節転移や臓器への遠隔転移を起こすこともあります。
悪性黒色腫
 悪性黒色腫は皮膚のメラニン色素を作るメラノサイトががん化した悪性度の高い皮膚がんです。はっきりした原因は不明ですが、外的刺激や紫外線が誘因になると言われています。黒色調の腫瘤や色素斑で、非対称、辺縁の不正、濃淡、大きさ、隆起などが診断の手助けになります。他の皮膚がんに比べて進行が早く生命予後の悪いがんですが、近年では薬物療法が次々と開発され、生存期間が延長しつつあります。
パジェット病
 乳房パジェット病と乳房外パジェット病に分類されます。前者は乳頭や乳輪に生じ、乳がんに準じた治療を行います。後者の乳房外パジェット病は高齢者に多く、アポクリン腺の多い腋窩や外陰部に紅斑として発生し、一見湿疹や白癬(水虫)と思われる場合もあります。初期であれば表皮内癌ですが、進行すると腫瘤を形成し転移を生じることもあります。

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当院の皮膚がんの治療方針

 当院では皮膚科と形成外科が皮膚がんチームを形成し、連携して治療に当たっています。
皮膚がん治療の基本は手術です。皮膚がんの種類、大きさによって切除範囲を決め、根治を目指した切除術を行います。限局的なリンパ節転移を伴っている場合はリンパ節郭清(頸部、鼠径部、腋窩部などのリンパ節群の切除)も行います。切除後の皮膚欠損が小さい場合は皮膚を縫って閉じますが、閉じられない場合は欠損の大きさや部位に応じて皮膚移植、局所皮弁、遊離皮弁などの方法で再建手術を行います。
 進行した悪性黒色腫では免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬による薬物療法を術後補助療法または単独療法として行います。
有棘細胞がんは比較的放射線に感受性が高いがんとされており、進行したものでは放射線治療を組み合わせることもあります。
  • 基底細胞がん
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  • 有棘細胞がん
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  • 悪性黒色腫
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  • 局所皮弁による再建
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